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宅建業開業の教科書リアサポ

大家×宅建業

大家が宅建業免許を取る5つの理由|賃貸の頭打ちを抜ける

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 代表取締役CEO 藤山 大二郎
大家が宅建業免許を取る5つの理由|賃貸の頭打ちを抜ける

「家賃だけで伸ばせる速度は、自己資金と、手元に届く物件情報の量で決まります。」。大家の宅建業免許とは、自分の物件を貸す経営に、他人の物件の売買や仲介を業として加えるための許可です。物件情報の入り口と手数料の行き先が変わる一方で、事務所・専任の宅建士・保証協会という固定の負担を抱えます。

運営は宅建業者の株式会社リアテクスで、リアサポは当社の開業・経営の支援サービスです。賃貸を続けながら免許を取る順番と費用は無料セミナーで一緒に整理しますが、申請書類の作成そのものは行政書士の仕事です。自分の場合の開業の順番だけ、先に確かめる(無料セミナー)

目次(11章)

先に自分の場合の開業の順番だけ知りたい方へ。

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家賃を積み上げても、次の一棟に届く速度は自己資金と情報の量で決まります。宅建業免許は、このうち情報の入り口と手数料の行き先を自分の側に寄せる道具です。代わりに事務所・専任の宅建士・保証協会という固定の負担が、毎年のしかかります。

大家が宅建業免許を取る5つの理由の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

大家に宅建業免許が要る場面と、要らない場面

自分が持つ物件を自分で貸すだけなら免許は要りません。他人の物件の売買や仲介を業として繰り返すところから、免許が要ります。線を分けるのは棟数や取引の金額ではありません。自ら貸すのか、他人のために売買・仲介をするのか、それを反復継続するのかという点です。

売買が「業」と判断される主な基準

  • 自分の物件を貸す

    何棟持っていても免許は不要。管理やサブリースに任せても同じ。

  • 他人の物件の媒介

    業として繰り返すなら免許が必要。知人相手や件数が少なくても同じ。

  • 自分の物件の反復売買

    転売目的や不特定多数への販売など、反復継続すれば業とみなされる。

「自ら貸借」は宅建業の定義に入っていない

宅建業法2条2号は、宅地建物取引業を、宅地や建物の売買・交換と、売買・交換・貸借の代理または媒介を、業として行うものと定めています。自分の物件を自分で貸す行為は、この並びのどこにも入っていません。何棟持っていても、貸す側に徹している限り免許は不要です。

管理会社に募集を任せても、サブリース会社へ一括で貸しても、大家の立場は貸主のままです。だから多くの会社員大家は、免許を一度も意識しないまま規模を広げていきます。ここまでは制度の側が用意してくれている自由な領域です。

裏返すと、免許なしでは踏み込めない場所もはっきりします。知人の物件の買主を探して成功報酬を受け取る、近所の大家の空室を自分で募集して広告料をもらう。どちらも他人のための媒介であり、業として繰り返すなら免許が必要です。相手が友人でも、件数が少なくても、線の位置は動きません。

自分の物件でも、売買を繰り返せば「業」になる

売主が自分であっても、反復継続して売買を行えば宅地建物取引業に当たります。判断されるのは棟数だけではありません。転売を目的に買っているか、広告を出して不特定多数に売っているか、その取引が一回限りで終わる性質かといった事情が併せて見られます。

保有していた一棟を売って、そこで終わりにするなら業としては扱われないのが通常です。相続した土地を区画に割って売り出す場合は、規模と売り方によって評価が変わります。迷う形のときは、免許権者である都道府県の窓口に事前に相談する方が早く片付きます。

買って直して売る流れを事業計画に置いているなら、話は単純です。最初の一件から免許が前提になります。大家として買い増しを続けてきた方ほど、自分の物件だから自由という感覚が残りやすいところです。

判断に使われる見方は、取引の相手が広く不特定多数に向けられているか、短い期間に繰り返されているか、資金の借り方や広告の出し方が事業に近いかといった要素の組み合わせです。同じ「自分の物件の売却」でも、一棟をまとめて買取業者に渡すのと、区画に割って広告を出し個人の買主を順に探すのとでは評価が変わります。売り方を決めた後では引き返せません。区画の数と募集の方法を固める前の段階で確かめる方が安全です。

大家の取引と宅建業免許の要否

取引の形免許の要否判断の分かれ目
自分の物件を自分で貸す不要宅建業の定義に入っていないため
他人のために売買・仲介する必要業として反復継続して行うため
自分の物件を反復継続して売る必要売主でも反復継続すれば業になるため

免許を取らずに踏み込むと何が起きるか

免許を受けずに宅建業を営むことは、宅建業法12条1項で禁じられています。自己の名義をもって他人に宅建業を営ませることは、13条1項で禁じられています。どちらも同法79条により、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科の対象です(e-Gov 宅地建物取引業法12条1項・13条1項・79条)。知り合いの業者の免許を借りて売買を回す形は、後者そのものに当たります。

すでに免許を持つ業者にとっても、違反は営業の停止や免許の取消しにつながります。国土交通省が公表した監督処分の集計によると、令和6年度の処分は免許取消99件・業務停止16件でした(出典:国土交通省「宅地建物取引業者に対する監督処分等の状況」2026年9月27日確認)。免許は取って終わりではなく、維持し続ける前提の資格です。

大家の側から見て怖いのは、無免許の期間に結んだ契約が後から問題になることです。報酬を受け取った相手から返還を求められることもあります。売買や媒介に踏み出す前に、免許の要否だけは先に確定させてください。

免許を受けられない事由にも注意が要ります。宅建業法5条1項は、禁錮以上の刑や宅建業法違反による罰金の刑を受けて5年を経過しない者などを、免許の欠格事由として並べています。法人の場合は、役員や政令で定める使用人も対象です。無免許のまま動いた結果、後から正規に免許を取る道まで塞がることがあります。

大家が混同しやすい「宅建士の資格」と「宅建業の免許」

宅建士は人に与えられる資格、宅建業免許は事業者に与えられる許可です。試験に受かっても、免許が付いてくるわけではありません。どちらが先に要るかは、自分で専任の宅建士を務めるのか、人を雇って置くのかで分かれます。

宅建士の資格と宅建業免許の取得手順

  1. 試験合格後

    実務経験の確認

    実務経験2年以上か、登録実務講習の修了が必要。大家の経験は原則不可。

  2. 要件を満たした後

    都道府県知事の登録

    試験を行った都道府県知事の登録を受ける。

  3. 登録後

    宅建士証の交付

    交付を受けて初めて宅建士として業務ができる。

試験に受かってから宅建士証までは三段階ある

宅建業法18条1項は、試験に合格した者のうち、実務の経験が2年以上ある者、または国土交通大臣がそれと同等以上の能力を有すると認めた者が、試験を行った都道府県知事の登録を受けられると定めています。実務経験2年は施行規則13条の15の要件です。これを満たさない合格者は、登録実務講習の修了で代えるのが一般的です。登録が済んでから、宅建士証の交付を受けて初めて宅建士として業務ができます。

大家として賃貸経営をしてきた期間は、原則としてこの実務経験には入りません。宅建業者のもとでの取引の実務が想定されているためです。自分が専任の宅建士になるつもりなら、講習まで含めた時間を開業の計画に組み込んでおく必要があります。

試験そのものの規模も押さえておくと判断しやすくなります。出典は不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(2026年9月27日確認)です。受験者245,462人に対して合格者45,821人、合格率18.7%でした(※いずれも同機構の公表値)。合格判定基準は50問中33問以上の正解です(※出典は同じ試験結果の概要)。

試験日・合格発表日・受験手数料は、年度ごとに同機構の実施公告で告知されます。前年度と同じとは限りません。受験する年の公告で、試験日と申込みの受付期間、手数料の額を確かめてください。申込みの締切を過ぎると、その年は受けられません。自分が専任の宅建士を務められる時期が、一年後ろにずれます。

免許は事務所を置く都道府県の数で知事免許と大臣免許に分かれる

免許の区分を決めるのは、取引をする場所ではなく事務所を置く場所です。2以上の都道府県に事務所を置くなら国土交通大臣、1つの都道府県だけなら都道府県知事の免許になります。有効期間は宅建業法3条2項により5年です。更新を続ける限り、事業は続けられます。

手数料は区分で変わります。東京都住宅政策本部の案内では、電子申請による新規・更新の免許申請の手数料は26,500円です(東京都住宅政策本部「宅地建物取引業免許の電子申請」)。書面での申請なら3万3千円に上がり、支払いは窓口での現金です(出典:東京都「宅地建物取引業免許申請の手引」)。

県境をまたいで物件を持っている大家でも、事務所が自宅のある1県だけなら知事免許です。隣県の物件を扱うために大臣免許が要るわけではありません。ここを取り違えると、要らない手続きと費用を抱え込みます。

自分が宅建士になるか、人を置くか

自分で試験に合格しておく利点は、専任の宅建士を外から探す必要がなくなることです。重要事項説明も自分でできます。合格までの時間と、開業したい時期が合うかどうかが判断の分かれ目になります。試験の日程と学習の進め方は宅建の勉強・試験・合格後の手続きのページにまとめています。

人を雇って置く道もあります。ただし専任の宅建士は、事務所に常勤し、その事務所の宅建業の業務に専ら従事することが求められます。名前だけ借りる形は認められません。人件費が毎月固定で出ていく点も、賃貸の収支とは別に見ておく必要があります。

急がない選択も現実的です。合格が見えていない段階で、免許の準備だけを進めても止まります。専任の宅建士が決まらなければ、申請は通らないためです。順番としては、専任をどう用意するかが先、事務所と申請はその後です。

「大家が混同しやすい「宅建士の資格」と「宅建業の免許」」の先の進め方は、無料セミナーで整理できます。

大家が免許を取ると、物件の仕入れはこう変わる

変わるのは情報の入り口と、買うときに動く手数料の行き先の2つです。どれだけ効くかは、狙う物件の種類で変わります。地元の業者と取引の関係を作れるかでも分かれます。

売主業者から見た免許を持つ買主の特徴

  • 免許なしの大家

    一般の検索サイトに載るまで待つ。

  • 免許を持つ大家

    レインズに登録された情報を直接見に行ける。

  • 実際の購入

    免許があっても、取引実績や扱いやすさがないと買えるとは限らない。

1. レインズと業者間の物件情報を自分で見に行ける

宅建業法34条の2は、専任媒介契約を結んだ業者に指定流通機構(レインズ)への登録を義務づけています。売りに出た物件の多くは、一般の検索サイトに載る前にこのネットワークに登録されます。免許を受けて会員になれば、大家自身がその情報を直接見に行けます。

ただし、見られることと買えることは別です。条件の良い物件は、登録される前に業者間の電話とメールで動いていきます。情報が回ってくるかどうかは、結局のところ取引の実績と、相手にとって扱いやすい買主かどうかで決まります。

免許を取っただけで物件が集まるという期待は、いったん外してください。変わるのは、探す側に立てる立場と、同じ土俵で話ができる前提です。仕入れの網の広げ方そのものは、「不動産投資の始め方」の記事で扱っている買付までの動き方と地続きです。

2. 売主側の業者から見た「買主」が変わる

業者間の取引には、決済までの速さや契約条件の調整のしやすさが求められます。宅建業者同士なら、重要事項説明の扱いも含めて話が早く進みます。売主業者から見て、免許を持つ買主は手離れの良い相手に映りやすくなります。

一方で、同業として見られることは、常に有利には働きません。相手も利益を取りに来ますし、素人相手なら通るような価格の説明は通用しなくなります。交渉の材料を自分で用意できるかどうかが、そのまま結果に出ます。

情報が回り始めるまでの時間も見込んでおくべきです。免許を受けた初年度から業者間の取引が積み上がる保証はありません。賃貸の収支で足元を支えながら、数年かけて関係を作る前提で計画を立ててください。

3. 買うときの仲介手数料が自分の側に残る場合、残らない場合

自分の会社が買主として媒介に入れば、売主側の業者との間で報酬を分け合う形になります。報酬の上限は、国土交通大臣の定めによるとされています(e-Gov 宅地建物取引業法46条1項)。売買の媒介で一方から受け取れる額は、物件価格が400万円を超える場合で価格の3%+6万円(消費税別)が上限です(※上限額は報酬額を定める昭和45年建設省告示第1552号による)。この分が外部に出ていかない意味は、買い増しの回数が増えるほど大きくなります。

残らない場合もあります。売主業者が自ら売主として直接売る物件では、そもそも媒介の報酬が発生しません。共同仲介で相手方が分配に応じないこともあります。手数料が必ず手元に残ると考えて収支を組むと、計画がずれます。

手数料を内側に残す効果は、価格交渉の余地としても使えます。仲介を挟まない分だけ、売主に渡る金額を厚くする提案ができるためです。この使い方ができるかどうかは、交渉の場数に左右されます。

金額の感覚も持っておいてください。前掲の上限(※宅建業法46条1項と昭和45年建設省告示第1552号)に当てはめます。3,000万円の物件で買主側の媒介に入れば、受け取れる報酬の上限は96万円(消費税別)です(※3,000万円×3%+6万円で算出)。年に1件の買い増しなら、この金額と、事務所の賃料・専任の宅建士の人件費・協会の年会費を並べて比べることになります。買う回数が年に数件へ増えるまでは、手数料を内側に残すだけで固定費を回収する計算にはなりにくいところです。

免許の有無による物件情報の届き方

観点免許なしの大家免許を持つ大家
売り物件の情報源一般の検索サイトレインズ(指定流通機構)
情報に触れるタイミング検索サイトに載った後サイトに載る前
業者間の情報届きにくい直接見に行ける

出口で変わること:大家が自分で売るときの宅建業免許の効き方

仲介会社を挟まずに自分で売れるようになります。売る時期と価格も、自分の事業計画に合わせて決められます。効き方は、買主を自分で見つけられるか、売買を繰り返して買取再販まで広げるかで変わります。

一棟売却と買取再販の資金と免許の違い

観点一棟を売って終える場合買取再販を繰り返す場合
宅建業免許の要否不要必要(事業の前提)
資金の性格長期のローン短期の資金
税務上の物件の扱い賃貸用物件販売用物件(在庫)

1. 自分の物件を自分で売るときの手数料

自ら売主として売る取引は、もともと自分に仲介手数料が発生しません。免許の有無にかかわらず、大家が自分の物件を売ること自体は自由です。ここで免許が効くのは、買主を探す過程を自分で回せるようになる点です。

レインズに登録してもらうために専任媒介を結ぶ、買取業者に相見積もりを取る、といった動きを他社に預けずに済みます。売り急がずに待つ判断も、自分の手の内で完結します。逆に、買主を見つける労力と広告費は自分で持つことになります。

売却の可否と時期は、税と融資の状況に強く影響されます。所有期間による税率の違いや、残債と売却価格の関係は、物件ごとに答えが変わる部分です。ここは税理士と金融機関に個別に当たってください。

2. 買取再販を事業にするなら免許が前提になる

買って直して売る流れを繰り返すなら、免許は入口の条件です。一棟の売却で終わる話ではなく、仕入れ・工事・販売を回す事業になるためです。家賃収入と違い、売却が決まるまで現金が入らない性質も抱えます。

資金の性格も変わります。賃貸の物件は長期のローンで持ちますが、再販の物件は短期の資金で回します。同じ金融機関でも担当部署と審査の見方が違うことが多く、賃貸の実績がそのまま使えるとは限りません。

税務の扱いも分かれます。販売のために持つ物件は在庫として扱われ、賃貸用として持つ物件とは経費の考え方が変わります。法人にするか個人のままかも含め、始める前に税理士と設計しておく領域です。

3. 宅建業者になると外れる保護がある

宅建業法78条2項は、自ら売主となる場合の制限(33条の2および37条の2から43条まで)を、宅建業者相互間の取引には適用しないと定めています。クーリングオフや手付金等の保全といった買主保護の規定は、免許を取った後の自分には働きません。売主業者から買う側に回る大家にとっては、明確に不利になる変化です。

守ってもらえる前提が外れる分、契約書と重要事項の確認を自分で厳しく見る必要があります。引渡し前に売主が倒れた場合の手付金の扱いなど、これまで制度が引き受けていたリスクが自分に移ります。弁護士や、取引の経験がある専門家に契約書を見てもらう費用も要ります。ここもコストとして数えてください。

免許を取る判断は、得るものだけで決めない方が安全です。買主としての保護を失ってでも、仕入れと出口の自由が要るのかという問いになります。年に数件しか買わない段階なら、答えは急いで出さなくて構いません。

家賃以外の柱:大家が宅建業免許で持てる仲介・管理の選択肢

他人の物件の売買や賃貸の媒介、管理の受託ができるようになります。家賃とは別に、手数料という収入の種類が増えます。増やせるかどうかは、営業と入居者対応に自分の時間を割けるか、専任の宅建士を置けるかで分かれます。

住宅街に建つ大家の賃貸アパートと、その周辺の静かな通りの様子
住宅街の一角で家の前を掃除する女性

免許で持てる収入の柱と時間の使い方

収入の柱収入の出方求められる時間の使い方
家賃毎月の安定収入自分の物件の対応
賃貸・売買の媒介手数料契約が決まった月に入る営業に自分の時間を割く
管理の受託料家賃とは別の手数料平日の日中の連絡と現場対応

1. 他の大家の物件の募集を自分で扱う

賃貸の媒介は、免許があって初めて業として行えます。自分の物件の募集は免許がなくてもできますが、近隣の大家から空室を預かる側に回るには免許が要ります。自分の管理物件がある地域なら、入居者の動きが読めるという強みをそのまま使えます。

収入の出方は家賃と違います。契約が決まった月に入り、決まらない月は入りません。賃貸の安定収入があるうちに、手数料の波を吸収できる体制を作れるかどうかが現実的な論点です。

広告料や仲介手数料の受け取り方には、報酬の上限という制約があります。貸借の媒介の報酬は、宅建業法46条1項に基づく国土交通大臣の告示で上限が定められています。家主と借主から受け取る合計の考え方も決まっています。慣行として広く行われている形でも、上限を超えれば違反になります。

2. 管理を受託するときに追加で要る登録

物件の管理を他の大家から受ける場合、宅建業免許とは別の制度が関わります。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律により、管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣の登録を受ける必要があります。小さく始めるなら登録の対象外です。伸ばしていけば、必ず通る道になります。

管理の仕事は、入居者からの連絡と現場対応が中心です。会社員として働きながら受けると、平日の日中に動けないという壁に当たります。自分の物件だけを見ていた時とは、求められる応答の質が変わります。

それでも、管理と仲介を両方持つ形は、物件情報が自然に集まる仕組みになります。売却を考えている大家は、まず管理会社に相談するためです。仲介だけで独立するより、手元の賃貸経営との相性は良い組み方です。

3. どこまで自前でやるかを決める

看板や集客の仕組みを外から借りる選択もあります。加盟の費用と、自分で作る手間のどちらを取るかという比較になります。判断の材料は「不動産フランチャイズは加盟すべきか」の記事に整理しています。

大家として始める場合、売買の仲介まで一気に広げない方が回りやすいことが多いです。賃貸の媒介と管理は、既に持っている物件と地域の知識が効きます。売買は一件あたりの金額が大きい分、対応の質が問われます。

収入の柱を増やす目的が「賃貸だけでは伸びないから」であるなら、どの柱に時間を使うかの優先順位を先に決めてください。全部を同時に始めると、どれも中途半端になります。

時間の配分は、本業の勤務形態で決まります。平日の日中に電話を取れない状態で賃貸の媒介を始めると、内見の日程調整が回りません。家族や外注先に日中の対応を任せられるか、自分が動けるのは何曜日の何時からかを先に書き出してください。受けられる仕事の範囲は、そこから逆算します。

免許を取った大家が新しく背負う費用と義務

増えるのは開業時のまとまった資金と、事務所・人・帳簿を維持し続ける手間です。金額は、営業保証金を供託するか保証協会に入るかで大きく分かれます。事務所を1か所にするか増やすかでも変わります。

主たる事務所に必要な法定費用の比較

  • 営業保証金(施行令2条の4)1,000万円
  • 分担金(施行令7条)60万円

1. 営業保証金1,000万円か、保証協会の分担金60万円か

宅建業法施行令2条の4は営業保証金の額を主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所ごとに500万円と定めています。一方、保証協会に加入する場合の弁済業務保証金分担金は、同施行令7条で主たる事務所につき60万円、その他の事務所ごとに30万円です(e-Gov 宅地建物取引業法施行令)。単独で1,000万円を供託できる大家は多くないため、実務では保証協会に加入する形が大半です。

保証協会に加入すれば、営業保証金の供託は免除されます(宅建業法64条の13)。ただし分担金のほかに入会金や年会費がかかり、額は協会と地方本部ごとに違います。加入を考えている協会の公表資料で、地元の支部の金額を確かめてください。

供託した営業保証金は、廃業すれば所定の手続きを経て戻る性質の資金です。分担金も同様に扱われます。とはいえ、営業している間は動かせない資金であることに変わりはありません。賃貸の頭金に回せるはずだった現金が、ここで固定されます。

保証協会を選ぶ場合に開業までに出ていく現金は、分担金60万円(前掲の宅建業法施行令7条)だけではありません。入会金、弁済業務保証金準備金、年会費、入会前の研修の費用などが重なります。額は協会と地方本部ごとに違います。合計は加入先を決めるまで確定しません。見積もりを作る段階で、検討している協会の支部に初年度の内訳と納付の時期を直接確認してください。分担金の60万円だけを見て資金を組むと、免許が下りた月に足が出ます。

2. 事務所と専任の宅建士を維持する費用

事務所は、継続的に業務を行える場所で、他の用途や他の法人と物理的に区分されていることが求められます。自宅の一室を使えるかどうかは、玄関からの動線や生活空間との区分の仕方で判断が分かれます。基準は、都道府県ごとの手引に書かれています。賃貸で借りるなら、その賃料が毎月の固定費になります。

専任の宅建士は、事務所ごとに、業務に従事する者の数に対して5分の1以上の割合で置く必要があります(宅建業法31条の3第1項・施行規則15条の5の3)。数えるのは会社全体ではなく事務所ごとです。自分が該当しない場合は、雇用してその人件費を負担し続けることになります。

固定費は、賃貸の収支から毎月引かれていきます。家賃収入が安定していても、仲介の売上が立たない期間が続けば手元の現金は減ります。開業してから最初の売上までの期間を、何か月分の現金で支えられるかを先に計算してください。事業としての組み立て方は不動産投資を、事業として組み立てるのページに関連する記事を置いています。

専任の宅建士を雇うなら、給与のほかに社会保険料の会社負担分が毎月乗ります。常勤が条件なので、週に数日だけ来てもらう形では専任として届け出られません。自分が専任を務められるなら、この固定費はまるごと不要になります。会社員を続けたまま免許を取りたい方の計画が、この一点で大きく分かれます。

3. 5年ごとの更新と、業者として守り続ける義務

免許の有効期間は5年です。切らさないために、更新の申請が必要になります。大臣免許は、新規のときに登録免許税9万円、更新のときに手数料3万3千円がかかります(出典:国土交通省「宅地建物取引業者免許制度の概要」2026年9月27日確認)。知事免許は、新規も更新も都道府県が定める手数料です。東京都の電子申請は、新規・更新とも26,500円です(出典:東京都住宅政策本部「宅地建物取引業免許の電子申請」2026年9月27日確認)。

日々の業務にも義務が付きます。事務所ごとの標識の掲示、従業者名簿と帳簿の備付け、取引のたびの重要事項説明と書面の交付。どれも宅建業法が業者に課しているもので、守れていなければ監督処分の対象です。賃貸経営では求められなかった記録の習慣が、ここから必要になります。

保証協会加入時にかかる主な費用

  • 営業保証金を供託する場合

    主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所ごとに500万円。

  • 保証協会に加入する場合

    主たる事務所につき分担金60万円、その他の事務所ごとに30万円。

  • 加入時のその他の費用

    分担金のほかに入会金や年会費などが重なる。

営業保証金と保証協会の初期費用の違い

観点営業保証金を供託保証協会に加入
主たる事務所の負担額1,000万円分担金60万円と入会金など
その他の事務所の負担額1か所ごとに500万円1か所ごとに30万円
営業保証金の供託必要免除される
廃業時の資金の扱い所定の手続きを経て戻る分担金は所定の手続きを経て戻る

「免許を取った大家が新しく背負う費用と義務」の先の進め方は、無料セミナーで整理できます。

大家が宅建業免許を申請する前に決める3つのこと

法人で取るか個人で取るか、事務所をどこに置くか、専任の宅建士を誰にするか。この3つを、申請書を書き始める前に確定させます。決まらないまま窓口に行くと、書類を作り直すことになります。

開業準備中の事務所で、独立を考える不動産会社員が、新しい机の配置を確かめるように室内を見渡している様子
がらんとしたオフィスで辺りを見渡す男性

申請前に決めておくべき3つの項目

  • 既存の法人で取る

    定款の目的に宅建業が入っていなければ変更登記が必要で日数が延びる。

  • 新設の法人で取る

    会社の設立が終わってからでないと免許の申請ができない。

  • 個人事業として取る

    事務所1か所で自分が専任の宅建士を兼ねるなら手続きは簡素。

1. 法人で取るか、個人事業として取るか

すでに資産管理法人を持っている大家なら、その法人の目的に宅地建物取引業を加えて免許を受ける形が考えやすくなります。定款の目的に入っていなければ、変更の登記が要ります。その分、申請までの日数が延びます。新設する場合は、会社の設立が終わってからでないと免許の申請ができません。

個人で受ける道もあります。事務所が1か所で、自分が専任の宅建士を兼ねるなら、手続きは簡素です。ただし、賃貸の所有形態と分けて考えないと、融資や税の整理が複雑になります。

どちらが向くかは、既存の物件をどの名義で持っているか、そこに売買の事業を足すのか別にするのかで変わります。法人と個人の使い分けは税額に直結するため、決める前に税理士に相談してください。開業の全体像は宅建業(不動産業)の開業のページから追えます。

2. 事務所にできる場所を先に決める

事務所は、免許の申請で最も差し戻されやすい部分です。独立した出入口があるか、居住空間と明確に区分されているか、他社と同居していないか。写真や間取り図の提出を求められます。候補が決まった段階で都道府県の手引を読み、必要なら窓口に写真を持って相談するのが確実です。

自宅で始めたい場合は、玄関から生活空間を通らずに入れるかが分かれ目になります。マンションの一室では、管理規約で事務所としての使用が禁じられていることもあります。賃貸で借りるなら、契約書の使用目的を事務所としておく必要があります。

事務所として使う部屋には、机と椅子、電話、鍵のかかる書類の保管場所など、業務ができる状態が求められます。提出する写真は、室内と入口の両方を指示されることが多いです。標識を掲示できる位置があるかまで見られます。借りる前の内見で写真を撮り、窓口や手引と突き合わせてください。契約してから使えないと分かる事態を避けられます。

場所は、後で変えると変更の届出と手数料が発生します。数年は動かない前提で選んでください。

3. 専任の宅建士を誰にするか

自分が専任になるなら、宅建士証まで受け取っている必要があります。そのうえで、その事務所に常勤し、宅建業の業務に専ら従事できる状態かが問われます。他社に正社員として勤めている間は、この条件を満たせません。

配偶者や親族が宅建士で、実際にその事務所で働けるなら、専任として届け出る道があります。雇用する場合は、就任の時期と給与の条件を先に合意してください。人が決まらないまま申請すると、審査の途中で止まります。

名前だけを借りて届け出る形は、宅建業法13条1項が禁じる名義貸しや、虚偽の申請の問題になります。免許の取消しにつながります。選択肢として検討する価値はありません。

大家の宅建業免許:申請から営業開始までの進め方

申請書の提出、審査、免許の通知、保証協会への加入または供託、免許証の交付という順に進みます。営業できるのは、最後の段階からです。途中で書類が足りなければ、その分だけ後ろにずれます。

宅建に合格した会社員が、官公庁街の広い歩道を歩いている様子
雪の残るオフィス街の歩道を歩く男性

申請から営業開始までの手続き順序

  1. 1

    申請書の提出

    事務所を置く都道府県の担当窓口へ提出する

  2. 2

    審査と加入手続き

    審査の間に保証協会の加入手続きを進める

  3. 3

    免許の通知と供託・加入

    通知後、保証協会への加入または供託を行う

  4. 4

    免許証の交付・営業開始

    免許証を受け取った最後の段階から営業できる

1. 申請書類をそろえて窓口に出す

申請先は、事務所を置く都道府県の担当窓口です。申請書のほかに、法人なら登記事項証明書と定款、代表者や役員、専任の宅建士の身分証明書や略歴書、事務所の写真や間取り図、資産に関する書類などが求められます。必要な書類は都道府県ごとに異なります。最新の手引を必ず使ってください。

東京都のように電子申請ができる自治体も増えています。電子と書面で手数料が異なる場合があります。申請の方法を決めてから費用を見積もってください。書類の準備に何週間かかるかは、法人の登記の状況と専任の宅建士の決まり具合で変わります。

免許の区分と制度の全体像は、国土交通省の案内で確かめられます(国土交通省「宅地建物取引業者免許制度の概要」)。

2. 審査の間に保証協会の加入手続きを進める

保証協会の入会には、申込書の提出のほか、面談や研修が設けられていることがあります。免許の審査と並行して進められる部分が多いです。申請を出した段階で協会の支部に連絡を取っておくと、開業までの日数が縮みます。

入会の審査では、代表者の経歴や事務所の状況が見られます。免許の申請と同じ資料を使えることも多いので、コピーを手元に残しておいてください。分担金の納付の時期と方法も、この段階で確認しておきます。

審査にかかる期間は都道府県によって幅があり、手引に標準の処理期間が示されています。これは目安であって、書類の補正が入れば延びます。賃貸の繁忙期に合わせて開業したいなら、逆算して数か月の余裕を見てください。

会社員として働いている方は、この期間に退職の時期を調整することになります。免許が下りる日を自分で決めることはできません。退職日を先に固定すると、収入の無い期間だけが伸びます。在籍したまま申請と協会の手続きを進め、専任の宅建士として就任できる時期に合わせて動いてください。その方が、手元の現金は減りません。

3. 免許証を受け取り、営業を始める

免許の通知が届いたら、保証協会に加入する場合は分担金を納付します。そのうえで、協会が弁済業務保証金を供託します。供託を選ぶ場合は、自分で法務局に営業保証金を供託し、免許権者に届け出ます。宅建業法25条は、営業保証金を供託して届け出た後でなければ事業を開始してはならないと定めています。

この届出が遅れると、免許そのものが取り消されることがあります。免許が下りたから営業してよい、と考えて先に契約を進めるのは危険です。開業の日は、免許証を受け取り、供託または分担金の納付まで終わった日から数えてください。

営業を始めたら、標識の掲示、帳簿と従業者名簿の備付けが必要になります。最初の1件が入る前に、契約書と重要事項説明書の様式を用意しておくと慌てずに済みます。

口座と会計も、賃貸の収支と混ぜない方が後が楽です。仲介の報酬と家賃、預かった手付金や敷金が同じ口座を通ると、帳簿の記録が追いにくくなります。税の整理にも手間が増えます。開業の日までに、事業用の口座と会計の形を決めておいてください。

「大家の宅建業免許:申請から営業開始までの進め方」の先の進め方は、無料セミナーで整理できます。

大家の宅建業免許をリアサポに相談する場合

賃貸経営を続けながら免許を取る順番と、そこまでに要る費用と時間を一緒に並べます。当社は宅建業者で、開業と経営を支援する無料セミナー「リアサポ」を運営しています。

独立を考える会社員が、自宅の机で無地のノートを開いて開業の準備を進めている様子
テーブルでノートに書き込む男性

相談前に手元で確かめる3つの順番

  1. 1

    専任の宅建士を誰にするか

    自分が専任になれるか、雇用するかを最初に決める

  2. 2

    事務所にできる場所があるか

    自宅を使えるか、借りる場合の賃料を確かめる

  3. 3

    売買を業として行う予定か

    買取再販か媒介かで必要な資金規模が変わる

相談の前に手元で確かめておくこと

専任の宅建士を誰にするかを、最初に決めてください。他社に常勤している会社員大家は、自分が専任になれません。ここが決まらない限り、開業の時期そのものが動きます。退職の予定、家族に宅建士がいるか、雇用する余力があるかを整理しておくと、話が具体的になります。

次に見るのが、事務所にできる場所があるかどうかです。自宅の一室を使えるのか、借りるのか、借りるとしたら月いくらまで出せるのか。この答えで、開業時の資金と毎月の固定費が変わります。

三つめは、売買を業として行う予定があるかどうかです。買取再販まで広げるのか、賃貸の媒介と管理から始めるのか。必要な資金の規模と、最初の数年の動き方が違います。保証協会に入るか営業保証金を供託するかも、この規模感から決まります。

無料セミナーで扱う範囲

リアサポは、2022年秋に始めた、宅建業の開業と経営を支援する当社のサービスです。オンラインで開き、参加費はいただきません。3時間ほどかけて、免許を取るまでに何をどの順で済ませるかを通しで見ます。どの段階でいくら現金が出ていくかも並べます。当社のサービス説明会を兼ねた場で、有料の支援についての案内も含みます。

大家として参加する方には、いま持っている物件と賃貸の収支を前提に、免許を取る場合の資金の出入りを並べ直す使い方をしてもらっています。手元の現金がどこで減り、どの時点から売上が立ちうるのか。自分の数字で見てから決める方が、判断はぶれません。

お問い合わせはメールで受け付けています(宛先は運営者情報に記載しています)。セミナーのお申し込みは申込フォームからいつでも受け付けています。

取引態様:本メディアでは物件の売買・仲介を行いません。記事でご案内する無料セミナー「リアサポ」は、運営会社である当社のサービスです

当社の支援が向かない場合

賃貸の管理だけを続けたい方には、当社のセミナーは向きません。売買や他人の物件の媒介を業として行う予定がないなら、免許を取る前提の内容はそのまま余分になります。空室対策や管理会社の見直しは、別の専門の相手に当たる方が早いです。

免許の申請書類の作成そのものを任せたい方も、行政書士に依頼する方が確実です。書類の要件は都道府県ごとに細かいものです。代行を業として行えるのは行政書士に限られます。当社が行うのは、申請までの順番と費用の整理までです。

宅建試験の勉強を始めたばかりで、合格も開業の時期も決まっていない段階であれば、試験が終わってからの方が話が具体的になります。本業を当面辞める予定がなく、専任の宅建士を置くあてもないなら、いま開業を急ぐ理由はありません。その間は物件を増やす方に時間を使う選択が残ります。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。免許の申請については、都道府県の窓口または行政書士へ。税務や融資については、税務署・金融機関または税理士へ。契約や権利関係については、弁護士へご確認ください。当社は宅建業者であり、税務や法律の代理、免許申請の代行はできません。

なお、当社がどのような立場でこのメディアを運営しているかは運営者情報に記載しています。免許番号もそちらでご確認いただけます。記事の区分ごとの担当は監修者の一覧に掲載しています。

「大家の宅建業免許をリアサポに相談する場合」の先の進め方は、無料セミナーで整理できます。

大家が宅建業免許を取るかどうかの答え合わせ

  • 免許が効くのは、物件情報の入り口、買うときの手数料、売るときの出口、買取再販への広げ方、他人の物件から受け取る手数料の5か所です。自分の物件を貸すだけなら免許は要りません。
  • 背負うのは、保証協会に入るなら主たる事務所につき分担金60万円と入会金です(供託なら営業保証金1,000万円)。そこに事務所の賃料と専任の宅建士の人件費が毎月乗ります。5年ごとの更新と帳簿の義務も続きます(宅建業法施行令2条の4・7条)。
  • 順番は5段階です。専任の宅建士を誰にするかを決め、事務所を確保し、法人か個人かを決める。そのうえで申請し、供託または分担金の納付を済ませて営業を始めます。

リアサポは、当社が開く無料の開業セミナーです。賃貸を続けたまま免許を取る場合の順番と、出ていく現金の額を一緒に並べます。

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宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号 取引態様:本メディアでは物件の売買・仲介を行いません。記事でご案内する無料セミナー「リアサポ」は、運営会社である当社のサービスです

大家と宅建についてよくある質問

Q1. 大家さんにおすすめの資格は何ですか?

自分の経営で使う場面が多いのは宅地建物取引士です。契約書と重要事項説明書を自分で読めるようになります。売買や賃貸の実務で、何が義務で何が慣行かの区別もつきます。免許を取って業に広げるなら、専任の宅建士の要件を自分で満たせる点も大きな意味を持ちます。

管理の比重が高い方は、賃貸不動産経営管理士のように管理業務を扱う資格が実務に近くなります。どれを先に取るかは、次の一手が売買なのか管理なのかで決まります。資格を取れば収益が増えるという関係ではなく、判断の材料が増えるという位置づけです。

Q2. 大家さんはなぜ儲からないと言われるのでしょうか?

家賃収入は、返済・管理費・修繕・税を引いた後に残る部分が小さいためです。規模が増えない限り、手取りは伸びにくい構造です。買うときと売るときに仲介手数料が外に出ていき、空室が出れば収入だけが減ります。一棟増やすまでの時間が長いほど、この差が効いてきます。

免許を取る判断は、この構造のうち手数料と情報の部分に手を入れる話です。ただし事務所と人の固定費が新たに乗ります。賃貸の手取りが薄いまま踏み出すと、かえって苦しくなります。手元の現金で固定費を何か月支えられるかが、先に確認すべき数字です。

Q3. 宅建士はオワコンの資格ですか?

登録者の数だけを見れば珍しい資格ではありません。宅地建物取引業者の数と宅地建物取引士の登録者数は、国土交通省が毎年度の報道発表「宅地建物取引業者数等について」で公表しています。最新の年度の数と増減の傾向は、その資料で確かめられます。

大家にとっての価値は、資格の希少性にはありません。事務所ごとに専任の宅建士を置かなければ免許が維持できない、という制度の側にあります。人を雇わずに自分で満たせるなら、毎月の人件費が要らないという具体的な差になります。取ったから収入が増えるという保証はありません。

Q4. 宅建を本気で受ける人はどれくらいいますか?

出典は不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(2026年9月27日確認)です。申込者306,099人に対して受験者は245,462人、合格者は45,821人、合格率は18.7%でした(※いずれも同機構の公表値)。申込みをしても受験しない人が6万人ほどいる計算になります(※申込者と受験者の差から算出)。

同じ資料では、合格者の職業別の割合は不動産業が33.2%とされています(※出典:不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」2026年9月27日確認。合格者に占める構成比)。合格者の平均年齢は36.2歳です(※出典は同じ試験結果の概要)。働きながら受ける人が多い試験で、合格を約束できる勉強法はありません。試験日から逆算して、学習に使える時間を確保できるかが現実的な論点です。

Q5. 不動産業界のタブーと言われるものは、法律上どう位置づけられていますか?

うわさとして語られるものの中で、宅建業法がはっきり禁じている行為は3つあります。免許を受けない営業(12条1項)、自己の名義で他人に宅建業を営ませる名義貸し(13条1項)、誇大広告等(32条)です。前の2つは79条により、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科の対象になります(e-Gov 宅地建物取引業法)。

大家が巻き込まれやすいのは名義貸しの側です。知人の業者の免許で売買を回す、報酬だけを分ける、といった形があります。頼んだ側も、無免許営業の問題を抱えます。業として反復継続して売買や仲介をするなら、自分で免許を取る以外の道はありません。

Q6. 会社員のまま宅建業免許を取れますか?

免許の申請そのものに、会社員であってはならないという要件はありません。壁になるのは専任の宅建士です。事務所に常勤し、その事務所の宅建業の業務に専ら従事することが求められます。他社に正社員として勤めている本人は、専任として届け出られません。

家族や従業員に宅建士がいて、その人が実際にその事務所で働けるなら、会社員を続けたまま免許を受ける形はありえます。あてがないなら、退職の時期か、専任を雇える収支になる時期まで待つ方が安全です。名前だけを借りる形は、免許の取消しに直結します。

当社の見方

不動産投資(不動産賃貸業)は会社員の副業として、最適かつ再現性のあるビジネスですが、規模拡大を目指しても大家(不動産賃貸業)だけをしていたのでは、拡大スピードに限界があります。

昨今では「不動産投資家が免許を取得して不動産業を開業する」というような流れもできています。

混同されている方もいますが、「宅建士」と「宅建業」は異なるものです。

「宅建士」とは、宅地建物取引士という重要事項説明書の説明ができる個人の資格です。

そして、「宅建業」とは、国土交通大臣、都道府県知事の許認可を取得した不動産会社の免許を指します。

これだけは断言できるのですが、不動産会社を立ち上げずに、不動産賃貸業だけに注力していたら、今の投資規模まで買い進められていません。

当社の無料セミナーで代表が話している内容を、個人が分からない形に整えて要約します。

当社の無料セミナーでは、大家の成長を階段で説明しています。副業で賃貸を始め、属性の上限まで買い、そこで不動産業を開業し、事業を組織にして、最後に会社の出口を考える、という順番です。多くの人がいちばん高く見るのは開業の段ですが、物件を買うわけではないので、資金の壁は思うほど高くありません。会社に勤めたまま始める場合は、事務所に常勤する専任の宅建士を別に置く形になります。本当に高いのは最初の一歩で、すでに賃貸を持っている大家はそこを越えています。賃貸業は時間を使わずに安定する一方、融資と自己資金の制約で拡大が遅くなります。不動産業は手間がかかる代わりに利益率が高い。この二つを組み合わせ、不動産業で得た利益を使わずに次の物件の頭金へ回すと、賃貸だけのときより拡大が速くなる、というのが講義の結論です。融資で止まった大家ほど、この段を上がる意味があると当社は考えています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は自らも宅建業を営み、不動産業の開業を支援する立場から、宅建業の開業・宅建試験・不動産投資を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
藤山 大二郎藤山 大二郎株式会社リアテクス 代表取締役CEOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。
公開・更新
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記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

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